カテゴリ:弐章/英雄( 36 )

弐章/英雄/挿話陸/氷の皇帝

露衣土。

氷の大陸にあった浄の国で生まれて、幼少の頃から、よく炮炎や燿炎と行動を共にしていた。

露衣土が成人した事を切っ掛けにして、露衣土と燿炎は力ずくで浄の国の政権を奪い取る為の戦争を始める。

この頃に炮炎は露衣土とは意見を違えて、二人の下を去る事になった。

そして露衣土は浄の国の政権を奪うと、浄の国を露衣土帝国として自らが皇帝に就くやいなや、国家の対立が争いの根源と断定して、約三十年にも渡る統一戦争を繰り広げる事となる。

そして精霊の星にあった全ての国家を手中に収めて、精霊の星を露衣土帝国という一つの国家の下に纏め上げる事になった。

それにより一時的にではあるが、国家間に拠る大規模な紛争が起こる事は無くなって、露衣土は精霊の星の英雄として絶大な支持を得る事になる。

しかし全ての国家を手中に収めたとは言っても、各国家内に散らばる反抗勢力までは制圧するに至らずに、統一戦争終結後、力に依る反抗勢力の掃討を行っていく。

それにより露衣土のやり方に疑問を抱かずにはいられない者も増え始めて、再び各地で紛争が拡がりつつあった。

そんな中で、とある事件が起こってしまう。

その事件を切っ掛けにして、燿炎もまた露衣土の下を去る事になったのである。

そして精霊の星の民衆の間では、露衣土に代わる新たな英雄を待ち望む声も拡がってきていた。

因みに露衣土は世間一般的に『氷の皇帝』と称されていて、氷の精霊の守護を受けていると認識されているが、実は氷の精霊の守護と同時に大地の精霊の守護も受けている。

露衣土にとっては、それが大地の精霊の守護を受けた者を受け入れ続ける最大の理由であったのだが、それらの事は露衣土以外の者には知る由すらなかった。

炮炎や燿炎ですら、その事は知らされていなかったのである。

それというのも、わざわざ自分が何の精霊の守護を受けているのかを他者に明らかにする習慣が無かった。

他者からすれば行使する魔法に拠って、誰が何の精霊の守護を受けているのかを判別する事も出来たからだ。

しかし露衣土は大地の魔法を氷の魔法で凍らせた相手を砕く時にだけ使用していたので、周囲の者が気付かなかっただけである。

周囲の者は氷の魔法で砕いていると思い込んでいた。

実際には如何に露衣土であろうとも、凍らせた相手を氷の魔法で砕く事は出来ない。

そして露衣土も決して、その事を隠していた訳ではなく、露衣土の方は露衣土の方で、すでに周囲には知られているものだと思い込んでいた。

また露衣土はもっと様々な大地の魔法を使おうと思えば使う事は出来たのかもしれないが、凍らせた相手を砕く魔法さえ使う事が出来れば、それ以外の大地の魔法は使う必要が無かったのである。

地震や地割れを起こす様な魔法を使わなくても、氷の魔法で十分に相手を制圧が出来た。

わざわざ周囲にまで被害を出す様な魔法は使う必要が無かったのである。

それが結果的に、露衣土が大地の精霊の守護も受けていると云う事実を隠してしまったのかもしれなかった。
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by gushax2 | 2016-05-25 05:20 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話伍/皇帝、城に篭る

氷の大陸、元、浄の国のほぼ中心に此処、露衣土城は建てられていた。

浄の国は氷の大陸の北西にあったので、氷の大陸から東の方角にある炎の大陸までは、かなりの距離がある。

また浄の国のずっと南には風の大陸があって、距離的には炎の大陸よりも近かったのだが、氷の大陸の南側には険しい山脈が連なっており、直接に浄の国と風の大陸を行き来するのは、かなりの危険と困難を共にしなければならなかった。

そして露衣土は露衣土城を拠点にして、統一戦争を戦い抜いたのだが、統一戦争が終わってからというもの、この露衣土城から外へは出なくなっている。

何故なら露衣土が外に一歩でも出ようものなら、英雄として大騒ぎされるか、命そのものを狙われるか、そのどちらかが待っているだけだったからだ。

露衣土は決して命を狙われる事が怖い訳ではない。

英雄として騒がれる事も、命を狙われる事も、ただただ煩わしかったのである。

露衣土は毎日、この城にある自室で部下からの報告を受けたり、部下に指示を出したりと、そんな日常を過ごしていた。

そして今日もまた、露衣土は自室の窓から外の景色をぼんやりと眺めている。

いつも、こうして考え事をするのが露衣土の日課でもあった。

─────

「どうしても行くのか?」

露衣土は炮炎に訊いた。

炮炎は露衣土の問い掛けに応える。

「ああ、もうお前には、ついていけん」

「そうか。止めても無駄な様だな」

露衣土は残念そうに言った。

そんな露衣土を余所に頼み事をする、炮炎。

「それよりも燿炎を頼む」

「それは構わないが、何故、一緒に連れて行かん?」

炮炎の頼みは引き受けた上で露衣土はその事に対する疑問を口にした。

露衣土の疑問に応える、炮炎。

「燿炎が自分の意思でお前と一緒に戦う事を選んだのだ。だから意見を違える俺が去れば、それで済む」

「そうか」

露衣土は短く応えた。

─────

若かりし頃の事を思い出していた、露衣土。

そこへ一人の部下が報告をする為に露衣土の部屋へと入って来る。

「ご報告、致します」

部下の男が露衣土に言った。

自室の窓から外の景色を眺めたまま短く応える、露衣土。

「うむ」

「燿炎等の反乱軍討伐に向かった水沂隊が全滅したとの事です」

部下の男は作戦の失敗を告げた。

露衣土は素っ気なく応える。

「そうか」

「どう致しましょうか?」

部下の男が露衣土に指示を伺った。

露衣土が部下の男の方へ振り返る。

「燿炎の件は全て崙土に任せてある」

露衣土は部下の男に司令官である崙土へ指示を仰ぐ事を示唆した。

「分かりました。では、失礼、致します」

そう言って、部下は露衣土の部屋を出て行った。

露衣土は再び一人きりになると、向きを変えて窓から外の景色を眺める。

そして再び考え事を始めた様だ。

暫くすると、徐に語り始める。

「燿炎よ、何を考えている。私に歯向かったところで、その先に待っているものは死しかない事を、お前は一番、解っているはずだ。平和の為の犠牲を受け止められないのか。だとしたら甘いな、燿炎よ。それとも私の考えの方が甘いと言うのだろうか。いずれにしろ、お前と私のどちらかが命を捧げなければならないのかもしれないな」

露衣土は一人、自室の窓から遥か彼方を眺めていた。
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by gushax2 | 2016-05-24 05:41 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話肆/突然の襲撃

燿炎は再び厳しい表情で烈の河の方を眺めていた。

一本の木に背を預けたまま腕を組んでいる。

その体勢で燿炎は炮炎の事を考えていた。

元々は別に炮炎の事を考えていた訳ではない。

しかし先程、麗羅に炮炎の事を言われた事で、炮炎の事を考えずにはいられなくなっていた。

その麗羅は燿炎のすぐ近くで、その場に座り込んで何も言わず、じっとして居る。

炮炎は燿炎の実の兄であった。

そして麗羅にとっては恋人であったのである。

その炮炎はすでに、この世には居ない。

炮炎の死には少なからず燿炎が関わっている。

それが先程の麗羅の言葉に繋がったのだ。

更に燿炎からすれば、触れられたくない事でもあった。

そして二人は黙ったまま各々、物思いに耽る。

麗羅もまた、炮炎の事を考えているのかもしれない。

そのまま、どれくらいの時間が過ぎたであろうか。

突然に燿炎の眼下に広がる大河が一気に凍り付いた。

それを目の当たりにした燿炎が叫ぶ。

「来たぞ!」

麗羅もすぐさま立ち上がって、何かしら、した様だ。

すると先程まで集まっていた者達が再び集まって来た。

燿炎達の近くに居た者達は燿炎の叫び声を聞き付けて、遠くに居た者達は麗羅のテレパシーに拠り事態を把握して集まって来たのである。

「凍浬、フォローを頼む」

燿炎が集まって来た者達の中の一人に言った。

「任せときな」

呼ばれた凍浬が応えた。

人並みの体格で非常に端正な顔立ちの男である。

大河の方を見ると、凍り付いた大河の上を数十人の者達がこちらへ向かって歩いて来ていた。

更に二人が上空を飛んで来ている。

露衣土帝国正規軍であった。

敵が大河を魔法で凍らせて、燿炎達を襲って来た様だ。

そして、いきなり炎と氷の矢を降り注いでくる。

数は七割程が氷の矢で、残りが炎の矢だった。

また炎と氷の矢に混じって、目で見る事が出来ない、かまいたちも襲って来ている。

そして敵の攻撃の割合はそのまま敵の編成にも繋がる訳で、燿炎を意識しての事なのか、氷の精霊の守護を受けた者が多めであった。

それら敵の攻撃に対して、燿炎と他数人の者達が氷の矢を炎の魔法で焼き払う。

炎の矢は凍浬と他二人の者達が人に当たりそうなものだけ、氷の魔法で消し去った。

かまいたちに因って、数人が傷を負ったが致命傷を負うまでには至っていない。

「今度はこちらの番だぜぇ」

燿炎はそう言いながら敵に向かって、物凄い量の炎を作り出した。

そして続けざまに言う。

「頼む、麗羅」

麗羅は突風を起こして、燿炎が作り出した炎を拡げながら、敵全体にその炎を浴びせる。

あっという間に敵は半数以下になっていた。

上空を飛んで来ていた風の精霊の守護を受けていると思われる者達が二人、炎に焼かれる事のなかった炎の精霊の守護を受けていると思われる者達が数人程。

風の精霊の守護を受けていれば、風の魔法で炎を避ける事が出来るであろう。

炎の精霊の守護を受けている者には、炎の魔法は効き目が無い。

それら残った者達は凍浬が氷の矢で貫く。

燿炎達は難無く敵を退ける事に成功した。
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by gushax2 | 2016-05-23 06:20 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話参/偽善と現実の間で

炎の大陸、元、灼の国にある烈と云う大河の辺にある小さな村。

先の統一戦争に拠り、以前、此処で暮らしていた者達は兵士として駆り出されて、その生死に関しては不明だが、その後、此処で暮らす者は居なくなっていた。

しかし、その様な状況もそう長くは続かない。

三日程前に、とある十数人の者達がこの村にやって来て寝食を共にしていた。

この村は周囲の殆どを熱帯雨林に囲まれており、唯一、視界が開けているのは烈と云う大河の方だけである。

そして一人の男が腕を組んで一本の木に背を預けて、その大河の方を厳しい眼差しで眺めていた。

体格はかなり大きめで、顔立ちは好き嫌いが分かれそうな感じである。

しかし決して醜いという訳では無い。

そこへ一人の女が駆け寄って来る。

小柄で大変に美しい容姿をしていた。

その女が男に声を掛ける。

「何を考えているの?」

「何も考えてなんか、いないさ」

男は素っ気なく応えた。

女が不満そうに言う。

「燿炎って、つまらない男ね」

「悪かったな」

燿炎と呼ばれた男は不機嫌そうに応えた。

再度、女が燿炎に不満をぶつける。

「どうせ炮炎の事でも考えていたんでしょう」

「言うな、麗羅」

厳しい表情で燿炎は言った。

燿炎にとっては触れられたくない事だったらしい。

そこへまた一人、男が駆け寄って来て燿炎に向かって言う。

「来ました」

「映してくれ」

燿炎は応えた。

すると突然、中空に画像が現れた。

そこには一人の男が映し出されている。

そして必死に何かを訴えている様だった。

それを聞き付けてか、周りに人が集まって来る。

画像に映し出された男が何を言っているのか、それは。

『長い長い戦乱の日々を乗り越えて、多くの犠牲の下、やっと手に入れた平和。それを何故、再び戦乱の日々へと戻そうとするのか。反乱軍の者達へ告ぐ、どうか、これ以上、新たな哀しみや憎しみを作り出す事は止めて欲しい』

それを聞いて、周りの者達が騒ぎ出す。

「何、勝手な事を言ってやがるんだ!」

「新たな哀しみや憎しみを作り出してるのは、そっちじゃねぇか!」

「過去はともかく、今も尚続く、この非道の数々。解っているのか!?露衣土よ!!」

周囲の者達は思い思いに画像に映った露衣土という男へ向かって、非難する様な言葉を浴びせていた。

どうやら、この者達と露衣土は敵対関係にあるらしい。

そんな中、燿炎は黙ったまま厳しい表情で画像を睨んでいた。

そして麗羅が燿炎に声を掛ける。

「燿炎も何か言ったら?」

「いや、俺には言う資格はねぇよ」

燿炎は自らを卑下する様に言った。

燿炎の言葉に腹を立てる、麗羅。

「馬っ鹿じゃないの!まだ、そんな事を言ってるなんてさ」

「うるせぇ!」

燿炎も腹を立てた。

再び麗羅が炮炎を引き合いに出して、燿炎を責める。

「何の為に炮炎が犠牲になったと思ってるのよ!」

「それは言うな!」

燿炎は叫んでいた。

画像の中では露衣土が演説を続けていたが、周りの者達は騒ぐのを止めて、その場から思い思いに立ち去って行く。

今、この場にいるのは燿炎、麗羅、そして画像を映し出したと思われる男。

数瞬の沈黙が三人を包み込む。

その沈黙を破って、燿炎が画像を映し出していたらしい男に声を掛ける。

「風電、もういい。ありがとうな」

「では、失礼します」

そう言って、風電と呼ばれた男もこの場から立ち去って行く。

もう中空の画像は消え去っていた。
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by gushax2 | 2016-05-22 06:28 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐/四つの精霊

精霊の星。

この星は四つの精霊の守護に拠って、成り立っていた。

炎の精霊、氷の精霊、風の精霊、そして、もう一つは大地の精霊である。

しかし大地の精霊に関しては、その存在そのものを信じていない地域も少なくはなかった。

それがこの星では大きな問題になっていたのである。

特に風の大陸においては、全土で大地の精霊の存在が否定的に考えられていた。

その理由の一つは大地の大陸が存在しないからである。

伝説としてのみ南半球の海の底に大地の大陸が存在すると云う様な。

そして、この精霊の星に生まれる人間は全て、四つの精霊の内、いずれかの精霊の守護を受ける事になる。

出生率に関しては、炎の精霊の守護を受ける者が四割を超える程度、氷の精霊の守護を受ける者が三割を超える程度、風の精霊の守護を受ける者が二割を超える程度、大地の精霊の守護を受ける者は一割にも満たない。

どの精霊の守護を受けるのか、親と子との間に一切の因果関係は無く、子供が生まれた瞬間に精霊の気紛れで決定される。

更に極稀ではあるが、同時に複数の精霊の守護を受ける者も居る様であった。

そして、この星の者は皆、守護を受けた精霊の力を借りて、それぞれ独自の魔法を行使出来る様になる。

その魔法はイメージするだけのもので、イメージして出来るものは出来て、出来ないものは出来ない、と個人差も大きかった。

─────

例えば、炎の魔法は火を操って何かを燃やしたりするので、薪を燃やすくらいの事は誰にでも出来たが、才能のある者は森林を燃やしたりする事も出来た。

氷の魔法は水を操って何かを凍らせたりするので、器に入った水を凍らせるくらいの事は誰にでも出来たが、才能のある者は大海を凍らせたりする事も出来た。

風の魔法は風を操って何かを動かしたりするので、情報の移動(テレパシー)くらいの事は誰にでも出来たが、才能のある者は物質の移動(テレポート)も出来た。

大地の魔法は土を操って何かを作り出したりするので、泥団子を作るくらいの事は誰にでも出来たが、才能のある者は建造物を作る事も出来た。

─────

また大地の精霊に関しては、前述でも述べた通り、その存在そのものを信じていない地域があって、炎、氷、風、いずれかの魔法が使えない者を『悪魔の子』と称して迫害をしたり、もっと酷くなると処刑の対象としている地域もあった。

それというのも、大地の魔法は地震や地割れを起こすものもあったので、周囲の人々にとっては、それが単なる自然災害なのか大地の魔法に因るものなのかの判別が出来なかったのである。

そして大地の精霊の守護を受けた者が居る所では、結果的に地震や地割れなどの自然災害に見舞われる機会が増えてしまう。

その事で大地の精霊の守護を受けた者は、大地の精霊の存在を信じていない地域において、災害を招く『悪魔の子』になってしまうのである。

また大地の精霊の存在が信じられている地域であっても、前述の様な理由から差別的な扱いを受ける事も少なくなかった。

人々とは勝手なもので、理屈として大地の精霊の存在を信じてはいても、いざ現実に自らが大地の精霊の守護を受けた者と接する事には抵抗を感じたりもする。

社会の中では、その様な事が差別に対する制度の整備を進めていく上での大きな障害にもなっていた。

結局、精霊の星の中で、大地の精霊の守護を受けた者の居場所は、かなり限定されてしまっていたのである。

そんな中で露衣土は大地の精霊の守護を受けた者を受け入れ続けてもいた。

その様な事から、露衣土は大地の精霊の守護を受けた者の受け皿として、大衆からの絶大な支持を得る事にもなったのである。
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by gushax2 | 2016-05-21 05:51 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話壱/精霊の星

地球と云う星において、長い時の流れの中、人類は幾重もの歴史を積み重ねてきた。

時に争い、時に助け合いながらも、次々と新たな歴史を積み重ねていく事で繁栄を続けていく事となる。

そんな人類も永遠なる繁栄が約束されている訳ではなかった。

栄枯盛衰。

諸行無常。

行き過ぎた繁栄が衰退を招いて、自らを滅亡へと追いやってしまう。

そして地球もまた、幾多の生命と同様に永遠なる存在とは為り得なかった。

いつしか地球も自らの寿命を全うする事になる。

更には地球のあった宇宙でさえ、例外ではなかった。

永遠とも錯覚しかねない程の長い時を隔てて、地球のあった宇宙もいつかは消滅する事になる。

しかし同時にそこでは新たな宇宙が誕生して、新たな宇宙の創造が始まる事になった。

その宇宙にも、また、幾つもの星が誕生する。

中には地球と同様に様々な生命を生み出し育む星も幾つかあって、そんな星の一つにこの精霊の星があった。

そして精霊の星でも地球と同様に人類が誕生して、その人類が精霊の星の歴史を刻んでいく事になる。

現在、精霊の星には大陸が三つ存在して、その大陸の殆どが北半球にあり、それぞれ、炎の大陸、氷の大陸、風の大陸と呼ばれていた。

氷の大陸は全て北半球にあって、炎の大陸の三分の一程度と風の大陸のほんの一部が南半球にあるだけであった。

北に氷の大陸、東に炎の大陸、西に風の大陸。

南半球はその殆どが海であった。

そして、その精霊の星において統一戦争が勃発。

現在はその統一戦争後の世界であるが、その前後の流れを簡単に纏めておく。

─────

統一戦争が起こる以前、氷の大陸には大小合わせて五十程の国家があって、大陸の大きさは炎の大陸と同じくらいであった。

一方、炎の大陸には余り大きな国家は無く、全部で百程の国家が乱立。

風の大陸は氷の大陸や炎の大陸に比べると、半分程度の広さで三つの大きな国家に支配されていた。

そして長い間、どの大陸においても各国家間の争いが絶えなかったのだが、そんな中で氷の大陸にあった浄の国が露衣土に乗っ取られてしまう。

その露衣土は力ずくで自らを皇帝に就かせ、浄の国を露衣土帝国に変えて、統一戦争を始める事になったのである。

露衣土は国家間の対立が争いの根源と断定して、この精霊の星を一つの国家の下に纏め上げる事、それが真の平和への道であると世界中へ訴えて、統一戦争を続けていった。

そして統一戦争を始めてから約三十年もの年月を経て、露衣土は多くの民衆から支持を得る事になり、この精霊の星は露衣土帝国の下、纏め上げる事となって、統一戦争は終結を迎える。

同時に露衣土帝国の皇帝である露衣土は英雄として崇められる事になっていく。

しかし、その後も逆らう者を排除し続ける露衣土の政策に反発する者も増え続けて、再び各地で争いが勃発してきていた。

今でも露衣土を英雄として崇める者は少なくなかったが、その一方で新たな英雄を求める機運も高まりつつある。

そしてまた、戦乱の日々へと戻りつつもあった。
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by gushax2 | 2016-05-20 05:57 | 弐章/英雄 | Comments(0)