<   2016年 06月 ( 30 )   > この月の画像一覧

弐章/英雄/挿話参拾弐/時を隔てた再会

氷の大陸、元、浄の国のほぼ中心にある露衣土城。

とうとう燿炎達、討伐軍の別働隊が此処まで、やって来たのだ。

崙土達を倒すと、後は燿炎達を阻む者は居なかった。

恐らくは、もう露衣土城に強力な将は残っていないのであろう。

露衣土軍の本隊は湘の国で展開して、討伐軍の本隊と睨み合いを続けている。

そして先日、司令官の崙土も倒したのだ。

燿炎達、討伐軍はそのまま露衣土城の中へ突撃して行く。

露衣土城の中へは、すんなりと入る事が出来た。

しかし城の中に入った途端、残っている城兵の襲撃を受ける。

城の中のあちらこちらで魔法に依る戦闘が繰り広げられていく。

それら城兵は他の者達に任せて、燿炎は一人で露衣土の下へと向かった。

燿炎にとっては、かつて知ったる露衣土城である。

懐かしくも感じたが、今は感慨に耽っている訳にもいかない。

それよりも、やけに簡単に進む事が出来る。

露衣土の下へ向かう燿炎を阻む者が居ないのだ。

燿炎は感じ取った。

〈これは罠だと〉

〈一騎討ちをする為だと〉

例え罠だとしても燿炎は戦うしかない。

燿炎達にとっても露衣土との一騎討ちを狙っていたのである。

此処へ来て、露衣土と燿炎達の思惑が一致したのだ。

露衣土にとっても予定通りであって、燿炎にとっても予定通りなのである。

もう少しで城の屋上へと辿り着く。

屋上の広場の先に露衣土の部屋がある。

そこで炮炎が殺されたのだ。

それも燿炎の目前で殺された。

燿炎は屋上へと出る。

燿炎が露衣土の部屋の方へ体を向けると、露衣土が自室の前で待ち構えていた。

燿炎の中で一気に緊張感が高まっていく。

燿炎はゆっくりと露衣土の表情がはっきりと判る位置まで近づき、足を止めて露衣土と向き合った。

本当に久しぶりの対面である。

かつて燿炎はこの露衣土と共に精霊の星を統一するべく戦っていたのだ。

それより以前は炮炎も含めて、幼少時代を共に過ごしてきた幼馴染みでもある。

時には一緒に悪さをして、一緒に叱られもした。

そんな悪童も成長するにつれて、目の前で繰り返される理不尽さや不条理さに疑問を膨らませていく。

そんな中で三人は世の中を良くしようと誓い合ったりもした。

自分達がやらなければ何も変わらない。

世の中を良くする為には自分達が率先して行動する必要があると考えたのである。

そして、そこまでは三人で問題を共有も出来ていた。

しかし、そこから先で違いが出てきてしまう。

問題を解決する手段において、炮炎が一人、意見を違える事になる。

多少、強引にでも改善をしていく必要があるとする、露衣土と燿炎。

そんな二人に対して、軽挙妄動は慎むべきだと炮炎は譲らない。

その後、炮炎は一人で二人の下を去って行く事となった。

一方、露衣土と燿炎は力ずくに依る改善を進めていく事となる。

いつしか、それは統一戦争となって、精霊の星、全体へと拡がっていった。

その後、統一戦争の終結に拠って、露衣土がこの精霊の星を一つの国家の下、纏め上げる事となる。

しかし、その事が結果的に炮炎を敵対させてしまう事にもなった。

そして燿炎にとって実の兄でもあった炮炎は、この先にある露衣土の部屋で露衣土に殺されたのだ。

その事を切っ掛けに燿炎は露衣土と自身に対する疑問を深める事になる。

その後、燿炎は露衣土の下を離れて、反乱軍に身を投ずる事となった。

そして燿炎は反乱軍のリーダーになる。

それから二人は直接対面する事はなかった。

そして十数年の時を隔てて二人は今、再び対面している。

今度はお互いがお互いの敵となって、であった。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-20 06:13 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話参拾壱/愚者の末路

露衣土討伐軍の別働隊は崖の上からの攻撃には十分に注意を払いながら、澪の谷の底を流れる氷河の上を露衣土城へと向かっていた。

すると突然に崖の上の方から、大小の岩の塊が別働隊に向かって落ちてくる。

やはり露衣土軍は此処で仕掛けて来たのであった。

このまま落ちて来る岩の塊を放っておいたら、別働隊は壊滅状態になってしまうだろう。

しかし別働隊には四天王の一人である崩墟が居た。

崩墟が大地の魔法で降り掛かって来る岩を全て砂へと砕く。

別働隊の者達は砂塗れにはなったが、死者はおろか一人の怪我人すら出さずに済んだ。

そして燿炎が崖の上に向かって声を張り上げる。

「崙土だろう!隠れていないで出て来いよ!」

すると崖の上に数人の人影が姿を現した。

燿炎はすぐさま崩墟に指示を出す。

「崩墟。頼んだ!」

崩墟は大地の魔法で人影がある部分の崖を切り崩して、敵を氷河へ叩き落とそうとした。

そして露衣土軍であろう人影達は切り崩された崖に乗ったまま、氷河に激突する寸前に切り崩された崖を砂へと砕き、衝撃を和らげて着地しようとする。

しかし、それまで氷河であったはずの、その場所が氷から水に溶かされていた。

凍浬が魔法で氷河の氷を溶かしたのだ。

敵であろう人影達は皆、そのまま砕かれた砂、諸とも水の中へと沈み込む。

そして一人の男が水の中から頭を出す。

その瞬間に水は再び氷河へと戻った。

凍浬が魔法で凍らせたのである。

頭を出した男は燿炎にとって、顔見知りの崙土であった。

崙土の部下達は全て氷河の中で氷漬けになった様だ。

そして燿炎が徐に頭だけになった崙土に話し掛ける。

「久しぶりだな。崙土」

「た、助けてくれ」

崙土は必死に助けを請うた。

燿炎が崙土の顔を覗き込む様にして言う。

「心配するな。久しぶりの再会なんだ。少し話をしようぜ」

「話って何を話するんだ?」

崙土は顔を引き攣らせながら言った。

皮肉を込めて、燿炎が崙土に声を掛ける。

「お前は今、司令官をしているんだってな」

「それが、どうかしたのか?」

崙土は皮肉を言われても、惚ける外はなかった。

更に皮肉を続ける、燿炎。

「随分と出世したもんだな」

崙土はどう返答したらいいのか判らずに言葉が出て来ない。

それを見て燿炎が言葉を続ける。

「露衣土はやり方に問題はあれども、己の信念に基づいて戦っている。しかしお前はどうだ!?」

「どうだ!?とは、どういう事なんだ?」

崙土は燿炎の言う事を測りかねて訊き返した。

今度は白地な嫌悪感を顕にして、燿炎が言う。

「お前は己の立身出世の為に多くの人々を踏み潰して来たよな」

「そ、それは誤解だ」

動揺を隠せずに吃ってしまった、崙土。

今度は燿炎が崙土に訊き返す。

「どう誤解なんだ!?」

「俺は露衣土様のお考えに心を打たれて、露衣土様の為に、と」

崙土がそこまで言った時、燿炎が話を断ち切る。

「まあ、いい」

「お、俺を殺すのか?」

崙土が声を震わせながら燿炎に訊いた。

再び崙土に訊き返す、燿炎。

「殺して欲しいのか?」

「いや、助けてくれ」

崙土は必死になって燿炎に助けを請うた。

「昔のよしみだ。すぐに殺しはしないさ。凍浬、頼む」

燿炎は崙土にそう応えながら、凍浬にも声を掛けた。

崙土は凍浬の魔法で残った頭も凍らされて生きたまま氷河の一部となった。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-19 05:37 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話参拾/定まった標的

燿炎達、露衣土討伐軍は本隊を洲の国で展開した。

そして、それとは別に少数精鋭の別働隊を組んで、こちらの澪の谷を進み、露衣土城のみを攻略するべく、露衣土城へと向かっている。

一方、露衣土軍の本隊は洲の国との国境を挟んで、湘の国で部隊を展開し、討伐軍本隊と睨み合いを続けていた。

─────

少し話を戻して、三日前の討伐軍による作戦会議での事である。

燿炎が本隊を洲の国で展開したまま少数の別働隊で、露衣土城のみを攻め落とす作戦を提案した。

幹部達の多くは、その様な燿炎の提案に対して、戸惑いを隠せないでいる。

「少数部隊だけで露衣土城を攻め落とせるのだろうか」

「いや、その前に露衣土城に辿り着く事さえ難しいだろう」

「果たして今の状況でわざわざ、その様なリスクを冒さなければならないのだろうか」

「別働隊などは組まずに戦力を集中して進軍していった方が、確実に露衣土城を攻め落とす事が出来るのではなかろうか」

この様な否定的な意見が会議場を飛び交っていた。

そんな中で凍浬が燿炎に声を掛ける。

「やっと本気になったんだな」

そして燿炎は会議場に居た幹部達に力強く語り掛ける。

「澪の谷を通って行けば露衣土城に辿り着く事はそう難しい事ではない。しかし少数部隊で露衣土城を攻め落とす事はそう容易くもない。それでも我々はそれを、やり遂げねばならない。何としても、だ」

そして戸惑う幹部達に、これまで見せた事のない程の強い決意を込めた表情を見せた。

そんな燿炎の表情を見て、それまで戸惑っていた幹部達も氷の大陸出身で地理を熟知している燿炎の提案に納得して、また、それまで抱いていた不安も払拭され、全会一致で燿炎の提案した作戦を決行する事になったのである。

─────

その様な経緯を経て、少数精鋭の別働隊で露衣土城を急襲する事にした討伐軍であった。

その別働隊にはリーダーである燿炎を含めて、麗羅、凍浬、崩墟の四天王が揃って組み込まれている。

本隊の方は露衣土軍と睨み合いをするだけだからだ。

戦況から考えて、露衣土軍の方から攻めて来る事は先ず、有り得なかった。

万が一に露衣土軍の方から攻めて来られたとしても、討伐軍が数の力で負ける事は考え難い。

寧ろ、そうして貰った方が討伐軍の思う壺であった。

悪戯に戦場を拡大せずに露衣土軍の戦力を削る事が出来る。

そう考えると露衣土軍の方から動いてくる事は有り得ないのだ。

今や、形勢は圧倒的に討伐軍の方に傾いているのである。

だから別働隊を組まずに本隊のまま進軍して行って、露衣土城を攻め落とす事も選択肢の一つではあった。

寧ろ露衣土城を攻め落とすには、そちらの方が確実であったと思われる。

しかし、それでは露衣土帝国がやってきた事となんら変わりがなくなってしまう。

そして双方の軍、更に民間人も含めて、悪戯に犠牲者を増やすだけなのだ。

それを避ける為に少数精鋭の別働隊を組んで、露衣土城のみを攻め落とそうとしていた。

そして燿炎達、別働隊の一行はこの澪の谷を露衣土城へと向かって進んでいる。

澪の谷の底には氷河が流れていた。

討伐軍はその氷河の上を進んでいる。

両脇は切り立った崖である。

この様な所で大部隊を展開する事は出来ない。

別働隊も縦長になって進軍するだけである。

もし此処で露衣土軍が仕掛けて来るのであれば、崖の上からの攻撃しか考えられなかった。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-18 06:40 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾玖/功を焦る司令官

氷の大陸、元、浄の国のほぼ中心にある露衣土城。

露衣土はいつもの様に自室に篭って、窓から外を眺めている。

燿炎達、反乱軍が大地の大陸に新たな国家を建ててからというもの、露衣土の下に届いてくる知らせは良くないものばかりになっていた。

それもあってか、最近は特に炮炎の事を思い出してしまう。

炮炎とは、いつも意見が合わなかった。

それでも、いつも一緒に居たのである。

今、思えば、あの頃が一番、楽しかった。

炮炎はどの様な時でも、決して理想を投げ出したりはしない、熱い男だ。

本当に自分とは正反対の男であった。

そして、だからこそ、の自分である。

炮炎の言う事は十分に理解が出来た。

しかし理解が出来てしまうからこそ、受け入れる事が出来なくなる。

眼下で繰り広げられる、理不尽さと不条理さに塗れた日常。

そんな日常の中で炮炎の言う理想は余りにも遠く感じて、それならば、と考える事が自分の原点であった様に感じる。

炮炎の言う理想とは違った世界を皆に見せる事こそが、自分の存在価値の様に思ったりもした。

そして、それは今も変わらない。

そんな風に思い巡らすと自分が滑稽にも思えてくる。

しかし、もう、炮炎はこの世にはいない。

露衣土自らが炮炎を葬ったのだ。

その代わりに燿炎が露衣土の前に立ちはだかる事になった。

面白い。

本当に面白い。

この世界の機敏というものに、いい知れ様のない面白さを感じずにはいられなかった。

そして露衣土の部屋に一人の男が入って来る。

「失礼、致します」

男が露衣土に向かって言った。

露衣土は男の方に振り返って、男の姿を確認する。

聞こえてきた声がいつもの報告係の男ではなかったからだ。

露衣土の部屋へ入って来た男は司令官である崙土と云う男であった。

「何用だ?崙土。司令官である、お前が此処に来るとは」

露衣土は崙土に嫌味ったらしく言った。

恐縮しながらも、すぐに一応の報告をする、崙土。

「燿炎達、反乱軍の一部が澪の谷へ迂回して、直接、こちらに向かっている様ですが」

「判っておる」

露衣土は淡々とそれだけを応えた。

崙土が露衣土の顔色を伺うかの様に訊く。

「如何、致しましょうか?」

「放っておけばいい」

素っ気なく露衣土は応えた。

露衣土の真意を測りかねて訊き返す、崙土。

「と、申しますと!?」

「此処へ来るというのであれば、迎えてやればいいという事だ」

露衣土は淡々とそう応えた。

再度、確認をする、崙土。

「宜しいのですか?」

「構わん。燿炎には私が直接に手を下せばいい」

露衣土はキッパリと言い切った。

今度は崙土が露衣土を気遣うかの様に言う。

「しかし露衣土様の手を煩わせる事もありますまい」

露衣土は厳しい表情で黙していた。

続けて今度は自らを売り込む様に崙土が言う。

「私が澪の谷へ出向いて、燿炎達を片付けて来ましょう」

「好きにしろ」

露衣土は相変わらずに淡々としたままだった。

そして崙土は露衣土の部屋を後にする。

「では、早速に」

再び自室で一人になった露衣土は窓から外を眺めて、厳しい表情で独り呟く。

「馬鹿め。何もそう死に急ぐ事もないだろうに。今の燿炎を倒せるとすれば私しかおらん。私が燿炎を倒す。或いは私が倒されるか、だ」
[PR]
by gushax2 | 2016-06-17 05:44 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾捌/再び動きだそうとする世界

ひょんな事から燿炎の迷いは晴れていた。

露衣土を倒したところで平和になるとは限らない。

しかし露衣土を倒さない限り、平和への希望が絶たれてしまいかねない。

だから平和への希望を絶やさない為にも、露衣土だけは倒さなければならない。

そして露衣土を倒した後、平和になるかどうかは、この世界全体の問題である。

討伐軍と云う一勢力、ましてや燿炎と云う一個人でどうにか出来るものではない。

更に言えば、自分で何とかしようなどと思う事は単なる思い上がりにしか過ぎなかった。

それは、ある意味、周囲に対する信頼の無さとも言える訳で、そんな事で皆を平和へと導く事なんて出来るはずもないだろう。

もっと皆を信頼しなければならない。

露衣土はそれが出来ていない様に思った。

だから先ずは皆を信頼する。

そして、そんな皆と一緒に試行錯誤して、皆で一緒に平和へと向かっていくべきなのだろう。

その機会を守る為の戦いであったのだ。

その機会を守る為に露衣土だけは倒さなければならない。

そして平和の為にと戦っている限りは露衣土と同様な事をする事になるだろう。

自分もまた倒されるべき対象にも、なってしまいかねないのだ。

それでは何も変わらない。

露衣土と自分が入れ替わるだけの事である。

これまで露衣土がやってきた事をこれから自分達が繰り返すだけなのだ。

危うく露衣土の二の舞を演じるところであった。

燿炎は己の愚かさを思い知る。

そして麗羅を呼ぶ、燿炎。

「麗羅」

「何?」

麗羅が応えた。

燿炎が麗羅に礼を言う。

「ありがとう」

「急に変な事を言わないでよ」

麗羅は何で礼を言われるのか解らずに戸惑いながら言った。

そんな麗羅の戸惑いを余所にして、燿炎は麗羅に頼む。

「皆を集めてくれないか」

「解ったわ」

麗羅はそう言うと、その場を離れた。

一人残った燿炎は再び考え込む。

燿炎は炮炎の言葉を思い出した。

『皆で何が【正義】なのかを模索していく。その過程こそが、本来、この世界のあるべき姿なのではないか』

この時は【正義】について炮炎は述べた。

しかし燿炎はこの【正義】の部分を【平和】に置き換えても同様に言える様に思った。

【平和】も、また、どうすれば【平和】になるのかを皆で考えて、一緒に試行錯誤をしていく。

その様な覚悟の様なものが大切なのかもしれない。

そして、その覚悟の様なものは試行錯誤と云う過程の中で育まれる。

そんな一朝一夕に出来る事ではないのだろう。

試行錯誤と云う過程を経なければ、そこに辿り着く事は出来ないのかもしれない。

それが炮炎の言っていた『本来、この世界のあるべき姿』なのではなかろうか。

そして燿炎は改めて思った。

自分はそんな世界がとても愛おしい。

何としてでも、そんな世界を守りたいと思う。

皆と一緒に、もっと、もっと、試行錯誤をしていきたい。

そして燿炎は露衣土城の方角を見上げながら呟く。

「露衣土よ、待っていろよ。お前は俺が倒す」

燿炎の表情には固い決意が込められている様である。

そして燿炎は皆が集まる会議場へと歩を進めて行った。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-16 06:21 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾漆/絶え間無い葛藤の中で

露衣土討伐軍が足止めを喰らう中で燿炎は一人、苦しんでいた。

反乱軍に加わったりせずに露衣土の下で戦っていれば、今頃はすでに平和を手にする事も出来たのかもしれない。

いや、それは違う。

露衣土の下で戦っていたら、この星を滅ぼすまで戦いを終える事は出来ないのではないだろうか。

しかし反乱軍に加わって、その反乱軍は今、討伐軍にもなってはいるが、この現状にしても同様の結末へと向かっている様にしか思えない。

一体、何が【正義】なのだろう。

露衣土も自分もどちらも【正義】だとは思えない。

燿炎がまだ若かりし頃に炮炎や露衣土と【正義】について語り合った事もある。

露衣土は言っていた。

『【正義】は誰かが決めるものではない。改善をしていく、その行動に【正義】がついてくる』

炮炎は言っていた。

『皆で何が【正義】なのかを模索していく。その過程こそが、本来、この世界のあるべき姿なのではないか』

若かりし頃の燿炎はどちらかと言うと、露衣土の言う事の方が理解が出来ていた。

理不尽や不条理が罷り通る現実の中で、多少、強引にでも改善を促す必要もあるように思っていたからだ。

しかし、それを信じて戦いを続けている内に、目の前で理不尽や不条理が次々と生じてくる。

理不尽や不条理を無くしていく為に戦ってきたのに、戦う事で理不尽や不条理を生み出してもしまう。

そんな中で【正義】に対する疑問が強まってきて、今は炮炎の言っていた事の方が、なんとなくだが理解が出来る様に思っていた。

そして燿炎は更に思う。

【平和】とは、一体、何なんだろう。

【平和】を求めれば求める程、人は争わなければならないのだろうか。

自分は【何】がしたいのだろうか。

自分は【何】を求めているのだろうか。

自分は【何】をすべきなのだろうか。

自分は【何】なんだろうか。

「何をしているの?」

突然に麗羅が声を掛けて来た。

燿炎は素っ気なく応える。

「別に何もしてないさ」

「また炮炎の事でも考えていたんでしょう」

麗羅は炮炎の事を持ち出した。

いつもの事である。

「うるせーよ」

燿炎は悪態をついたが否定も肯定もしない。

こちらも、いつも通りだった。

「平和って一体、何なんでしょうね」

燿炎が考えていた事と同じ事を麗羅が呟く様に言った。

燿炎は何も言えずにいる。

そして麗羅が続けて言う。

「いつも炮炎が言っていたわ」

「なんて言っていたんだ?」

燿炎が麗羅の言葉に食いついた。

話を続ける、麗羅。

「平和なんてものは己の内にのみ存在するもので、それを周囲に求めてはいけないってね」

確かに、そうなのかもしれない。

しかし今の燿炎の内に平和の存在は感じられなかった。

そして過去を振り返ってみても、平和を感じた覚えは一度も無い。

覚えていないくらい子供の頃には平和であったのかもしれないが、それでも世界の何処かで、子供には知り得る事の無い紛争が起こってはいたのであろう。

果たして、この世界に平和なんてものは存在するのだろうか。

燿炎がそんな風に想いを巡らせた、ちょうど、その時に麗羅が話掛けてくる。

「炮炎と一緒だった時は平和だったわ」

「どう?平和だったんだ?」

燿炎が麗羅に訊いた。

麗羅が先程の自らの言葉を否定する。

「でも、平和じゃなかったの」

燿炎の質問に対する回答としては不適切に感じたので、燿炎は黙って麗羅の次の言葉を待つ。

そして麗羅が話を続ける。

「だから戦う事を決めたのよ」

結局、燿炎の質問に対する納得のいく回答は得られなかった。

しかし戦う事の意味については、なんとなくだが解る様な気がする。

再び麗羅が続けて言う。

「露衣土は己の平和を全ての人々に押し付けようとしているの」

燿炎は何も言わずに、ただ、麗羅の話を聞いている。

話を続ける、麗羅。

「だから露衣土だけは倒さなければならないのよ」

確かに麗羅の言う通りだと思う。

そして燿炎は自分が平和を求め過ぎていた事に気付いた。

反乱軍のリーダーとなって、その責任感もあっての事だろう。

自分達が平和にしなければならない、と。

今までは平和の為にと戦っていたのだ。

しかし、この戦いは、その様なものではなかった、と気付く。

平和への希望を繋ぐ為の戦いであったのだ。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-15 06:36 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾陸/立ちはだかる二つの壁

燿炎達、反乱軍が大地の大陸を復活させて、塑の国を建ててから十二年が過ぎようとしていた。

その間に反乱軍は各地の抵抗勢力を吸収しながら、風の大陸、そして炎の大陸を露衣土帝国の支配から解放して、更に氷の大陸の約五分の一程の領域まで攻め込んでいる。

この時点ですでに立場が逆転して、反乱軍は露衣土討伐軍とでも言うべき存在になっていた。

しかし此処へ来て、中々、先へとは進めなくなってもきている。

それというのも、風の大陸、炎の大陸と、露衣土帝国の支配から解放する事は出来たのだが、解放したらしたで、今度は幾つかの地域で秩序を保てなくなってしまったのだ。

特に独立指向の強い風の大陸では、それが燿炎達、討伐軍の足枷にもなっていた。

炎の大陸の方は解放する際に苦労した分だけ、今のところは風の大陸程、問題にはなっていない。

それでも風の大陸程ではないと云うだけだ、問題が全く無い訳ではなかった。

とにもかくにも、人間とは本当に身勝手な生き物で、露衣土帝国に支配されている間は露衣土を恐れてか、余り派手に暴れる者はいなかったのだが、反乱軍によって露衣土帝国の支配から解放された途端に、次々と勝手に暴れ回る者達が出て来てしまったのだ。

勿論、次々と言っても全体から考えれば、一部の者達にしか過ぎない。

しかし、その一部の者達を放っておく事で、何の罪もない民衆を犠牲にしてしまうのであれば、平和の為にと戦っている反乱軍、いや、討伐軍の存在意義を問われかねないのである。

結局、統治者が誰であれ、秩序は守らなければならない。

討伐軍はその為に各地へ兵を送らなければならず、戦力を一本化出来ないでいる。

更にもう一つ大きな問題を抱えていた。

これまで風の大陸、炎の大陸では、露衣土の圧政に対する反発も強くて、民衆の多くは露衣土帝国の支配から解放される事を望み、その望みを反乱軍に託す様な形だったので、大概の場合において反乱軍は民衆に歓迎されて、民衆は反乱軍に協力的でもあった。

しかし氷の大陸まで来ると、さすがに、これまで通りとは、いかなくなってもきている。

それと言うのも当然に氷の大陸の民衆にとっては、露衣土帝国が自分達の誇りにもなっているからであった。

世の情勢が逆転したとは言え、氷の大陸の民衆にとって討伐軍は未だ反乱軍であって、侵略者として見ているのだ。

そんな中で力ずくで進軍でもしようものなら、それは露衣土帝国がやってきた事となんら変わりがなくなってしまう。

そうかと言って、露衣土をこのまま放っておいて、露衣土が黙っている訳でもない。

恐らくは再び露衣土帝国の戦力を蓄えさせてしまう事にもなるであろう。

そして、また、情勢が逆転する事も無い話ではないのである。

結局、戦争が終わる事無く、より多くの民衆が犠牲になる事にもなってしまうのだ。

強引に進軍する訳にもいかず、露衣土の討伐を止める訳にもいかず、燿炎達は此処へきて、足踏みせざるを得なくなっていた。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-14 05:41 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾伍/解放戦線

塑を建国してから、約二年。

燿炎達、反乱軍は着々と力を蓄えてきた。

国を整えて兵を鍛え計を練って、いよいよ行動に移すべき時を迎える。

反乱軍の志気は益々盛んになってきて、士気の方も最高潮に達している様に思われた。

そして精霊の星を露衣土帝国の支配から解放するべく、炎の大陸、そして風の大陸へと、それぞれに部隊を進めて行く事となる。

その為に反乱軍は部隊を二手に分けて、解放戦線を展開していかなければならなくなった。

燿炎と麗羅で炎の大陸を、凍浬と崩墟で風の大陸を、それぞれ解放するべく、それぞれ配下の兵士も二分する。

以前の反乱軍であったら部隊を分割する事は出来なかったであろう。

無理矢理に分割しても戦力を激減させてしまうだけである。

しかし今は配下の兵士も育ってきて、それぞれに四天王を支援する形で、露衣土帝国軍に対抗が出来るだけの戦力を維持する事も出来る様になっていた。

そして塑の国の守備と統治は適性のある者達に任せ、リーダーである燿炎は自ら麗羅と共に配下の兵士を引き連れて炎の大陸へと向かう。

一方、凍浬と崩墟も配下の兵士を引き連れて風の大陸へと向かった。

五年もすると、凍浬達に拠って、風の大陸の露衣土帝国からの解放は達成される。

元々、排他的な風習が強く残る風の大陸では、露衣土帝国の支配に対する反発も強かった。

そのような風土が後々、反乱軍にとっての足枷になってもくるのだが、現状において、風の大陸の民衆の大半は露衣土帝国の支配からの解放を望んでいたのだ。

だから風の大陸で反乱軍は民衆に好意的に受け入れられて、容易に協力も得られた。

そして反乱軍は風の大陸で順調に露衣土帝国からの解放を進めていく事が出来たのである。

一方、その頃、炎の大陸で燿炎達は思う様に兵を進める事が出来ずにいた。

未だ炎の大陸の半分に満たない程度しか露衣土帝国からの解放は為されていなかったのだ。

勿論、大陸の面積が風の大陸と比べて倍程の大きさがあるので、仕方がない面もある。

しかし、それ以上に炎の大陸の風土というものが結構、厄介だったりもした。

炎の大陸は元々、纏まりに欠いた風土があったので、露衣土帝国の支配下になってからも、あちこちに露衣土帝国に対する反抗勢力が散在していたのである。

そして、その反抗勢力は必ずしも反乱軍に協力的であるとは限らなかったのだ。

時には反乱軍に対しても敵対するような勢力が存在したのである。

そんな中で粘り強く、理解と協力を得ながら、露衣土帝国からの解放を進めなければならなかった。

そして凍浬が風の大陸の露衣土帝国からの解放を終えて燿炎達に合流する。

崩墟は配下の兵士達と風の大陸に残って守備を固めていた。

反乱軍は凍浬が加わった事で、露衣土軍との戦闘に因る負担が随分と軽減される。

それにより炎の大陸の露衣土帝国からの解放も速度を早める事が出来た。

そして、それから三年程経って、反乱軍による炎の大陸の露衣土帝国からの解放が為される事になる。

残りは露衣土帝国の本拠地であり、燿炎や炮炎の故郷でもある、氷の大陸を残すだけになっていた。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-13 06:59 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾肆/返り討ち

大地の大陸に塑の国を建てた、反乱軍。

建国から一年半程、過ぎている。

その間、国力の安定に力を注いできたが、今度は少しずつ露衣土帝国に対向する為の戦力を整える必要も出てきていた。

未だに炎の大陸と風の大陸から、人々の流入は続いている。

大地の大陸には広大な土地があったので、逃れて来た人々を受け入れる事は可能ではあった。

しかし、それだけ炎の大陸と風の大陸が混乱を極めているという事でもあって、出来るだけ早く、その様な状況を静める必要もある様に思われる。

そして逃れて来た人々の中から一部、戦闘に適性の高い者達を反乱軍の戦力として訓練もし始めていた。

そんなある日、露衣土軍の討伐隊がやって来る。

燿炎は麗羅と凍浬、そして数十人の兵士を引き連れて迎え撃つ。

崩墟や大地の精霊の守護を受けた兵士は大地の魔法が効かない大地の大陸では、戦力にならないので留守番をするしかなかった。

やって来た露衣土軍の方は三十人程であろうか。

人数はそれ程の差がある訳では無かった。

燿炎達、反乱軍の方が幾らか多いくらいであろう。

露衣土軍を率いていたのは岩堝と云う男であった。

以前に炎の大陸で燿炎達、反乱軍を地割れの魔法で一網打尽にした男だ。

その岩堝が燿炎に向かって声を荒げる。

「裏切り者、燿炎よ!よくも、この俺を謀ってくれたものよ!おかげで俺はとんでもない恥をかかされてしまったぜ!」

「謀った!?俺はお前を謀った覚えなんてない。変な言い掛かりは止めて貰いたいね」

燿炎は岩堝が何を言っているのか、理解が出来ずにいた。

岩堝が再び燿炎に向かって声を荒げる。

「惚けるんじゃねぇよ!俺に敗れたフリをして此処まで逃げて来たくせに!」

「なるほどね。しかし、それは誤解だ。あの時は別にフリをした訳じゃない。本当に危機一髪だった。その危機を回避出来たのは我々に理があるからだと俺は思っているが、お前はどう思う!?」

声を荒げる岩堝とは対照的に燿炎は至って冷静に岩堝へ向かって問うた。

そんな燿炎に攣られる様に先程よりは声を抑えて話をしてくる、岩堝。

「何が理だよ。幾ら生意気を言っても俺に恥をかかしてくれた罪が消える訳ではない」

「そっちが、そう来るのなら、こちらも言わせて貰う。お前の所為で俺達は何人かの仲間を失った。本来なら許す事は出来ないが、無駄な争いを避ける為にお前達の方から降参するというのであれば、勘弁してやらない事もない」

燿炎は岩堝に対して投降を要求した。

それを聞いた岩堝が再び声を荒げて語る。

「何が勘弁だ!勘弁するしないは、こちらの方だ!この際、俺に対する非礼は勘弁してやろう。しかし露衣土様に対する非礼だけは勘弁ならん!露衣土様に反旗を翻すどころか、露衣土様の許しも無く大地の大陸を復活させ、あまつさえ新たな国家を建てるという傍若無人な振る舞い。この俺が露衣土様に代わって成敗してくれようぞ!」

「何が露衣土、〔様〕だ。露衣土の事はよく知ってるが、〔様〕なんか、つける程の奴じゃねーよ!それよりも時節を誤ると、無駄に命を落とす事になるだけだぜ。おとなしく俺達の軍門に下った方がお前達の身の為だ」

燿炎は再び岩堝達に投降を促した。

「裏切り者の分際で何をほざく!俺は逆賊に懐柔される程、落ちぶれてはおらん!何が時節だ。未だ露衣土様の天下である事は何も変わってはおらん。お前の方こそ分を弁えるがいい!己の愚行を思い知れ!」

そう叫びながら岩堝は魔法を使う。

しかし何も起こらなかった。

岩堝は何度も地割れの魔法を使うが、一向に何も起こらない。

露衣土軍は岩堝の魔法を切っ掛けに総攻撃をする予定だったが、岩堝の魔法が効かないので、どうしたらいいのか判らずに戸惑うだけであった。

その様子を目の当たりにして、燿炎が特大の炎を作り出す。

そして続け様に叫ぶ。

「後は皆に任せたぜ!」

麗羅が風の魔法で燿炎の作り出した炎を拡げて、露衣土軍に浴びせ掛ける。

岩堝を含めた半数以上が炎に呑まれて燃え尽きた。

残りを凍浬や他の兵士がそれぞれの魔法で片付ける。

あっという間に露衣土軍は全滅した。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-12 04:27 | 弐章/英雄 | Comments(0)

弐章/英雄/挿話弐拾参/向きが替わった風

氷の大陸、元、浄の国のほぼ中心にある露衣土城。

燿炎達、反乱軍掃討の報告後、露衣土は各地に残存する抵抗勢力への威力制圧に、更なる力を注いでいた。

毎日、毎日、報告を受けて、必要があれば自ら直接の指示も出す。

しかし八ヶ月を経た現在も未だ、精霊の星、全体を制圧するまでには至っていない。

それどころか力で捩じ伏せようとすればする程に、抵抗勢力が後から後から湧き出て来る様に感じている。

決して敗戦の報に触れる訳ではないが、いつまで経っても抵抗勢力が居なくならなかった。

まるで土竜叩きの様である。

こっちを叩けば、あっちに、あっちを叩けば、こっちに。

とにもかくにもキリがなかった。

そんな折りに驚くべき報告が舞い込んでくる。

『大地の大陸が復活』

この報告が本当であれば、大変に驚くべき事だが、俄には信じ難い事ではある。

だから露衣土はまともには受け取らなかった。

しかし次に齎された報告が問題だったのである。

数ヶ月後、更に驚くべき報告が舞い込んで来たのだ。

『燿炎達、反乱軍が大地の大陸に新たな国家を建てた』

こちらの報告は露衣土からすると、驚くというよりも呆れる外はなかった。

部下の報告に拠れば、以前に燿炎達は死んだはずなのである。

その死んだはずの燿炎達が大地の大陸を復活させて、大地の大陸に新たな国家を建てたのだ。

はっきり言って、部下の怠慢以外の何物でもなかった。

しかし今更、部下をそんな事で責めても、どうにもなるもんでもない。

寧ろ部下の報告を鵜呑みにした自分自身が腹立たしいくらいであった。

いずれにしても、こうなると、もう、噂などというレベルの話ではなくなってくる。

後からの報告が前の報告の裏付けにもなってくる訳で、信じ難いなどと言っている場合ではないのだ。

現実のものとして考えなければならなくなってくる。

抵抗勢力の勢いが衰えない原因も、恐らくは【此処】にあるのだろう。

実際に大地の大陸に出来た新たな国家の存在が、炎の大陸と風の大陸に展開していた抵抗勢力に勇気と安心を与えていた。

例えその時の戦闘に敗れても、大地の大陸に逃げ込む事が出来たからである。

更には炎の大陸と風の大陸では、民衆が次々と抵抗勢力になったりもしていた。

その様な事が延々と繰り返されていたのだ。

露衣土は思った。

風はもう自分には吹いていない、と。

しかし不思議と悔しさは無かった。

寧ろ燿炎が生きていた事が嬉しく感じたりもする。

若かりし頃に語り合った、短くも濃厚な時間。

あの頃の続きを、まだ続ける事が出来る。

当時、語り合った相手は主に炮炎であった。

そして今、更にこれから戦わなければならない相手は燿炎に替わっている。

若かりし頃の燿炎は露衣土に追従していた。

そして共に幾多の戦いを潜り抜けて来たのである。

その燿炎と戦わなければならなくなった。

それでも此処まで来た以上は、今更、後に引く訳にもいかない。

「燿炎よ。見事、私を倒してみせよ」

露衣土は覚悟を決めたかの様に一人呟いた。
[PR]
by gushax2 | 2016-06-11 06:05 | 弐章/英雄 | Comments(0)